第七話「大好きな先輩が・・・」

 先輩は控室に運ばれていった・・・・

 『こんな試合って・・・僕達まだ・・・』言いようの無い雰囲気がジムに漂った。

 興奮する観客・・・・・

 第2試合は僕とKくんの大好きな優しくてかっこいい中学1年生のS先輩だ・・・

 「S先輩がんばって・・・」Kくんが声を掛けたが返事が無かった。

 白い短いトランクス、白のリングシューズにハイソックスのS先輩がリングに・・・

 「第2試合○○ジムS君対○○学校中等科C君」

 S先輩の登場でまた観客席が盛り上がる・・・そして野次・・・

 相手の選手はやっぱり同じ中学生には思えない、筋骨隆々・・・鋭い眼光・・

 言い忘れたが第一試合からヘッドギアはつけていないし上半身は裸だ・・

 僕も?・・・そんな・・・・

 1Rのゴングが鳴った、長い脚でフットワークを使いジャブを・・・・・

 僕やKくんと同じスタイルのS先輩・・・・

 相手の選手・・・やっぱり凄い、上半身だけの動きで軽くジャブをかわす・・・

 ひととおりS先輩の攻撃をかわすと、鋭い動きでS先輩を・・・

 ものすごいボディーブロー、左右のフック・・・・コーナーに詰まるS先輩・・・

 そして強烈なアッパーがS先輩の顎を打ち砕いた・・・・

 相手にひざまずくように崩れおちるS先輩・・歓声と口笛、野次・・・

 Kくんの「先輩!」っていう叫び声。

 カウントが入る・・・テンカウント!それなのにレフリーはKOを宣言しない・・

 無理矢理立ち上がらせるとファイトを続行させた・・・『そ、そんな・・・』

 凛々しい顔の表情は墜ちて長い脚をふらつかせるS先輩に再び襲い掛かる相手・・

 ボディーに強烈な一撃、うずくまるようにガードを下げるS先輩の顔面に・・・・

 1発、2発・・・抉るような相手のパンチ・・夢遊病者のようにロープに・・・

 とどめの右ストレートが・・・・

 ロープに跳ね返り前のめりにダウンするS先輩・・・

 ワン!ツー!スリー!・・・「立て!立て!」ひどい野次が・・・

 本当にうつ伏せのままぴピクリとも動かない・・・ナイン!テン!

 「おいっ!レフリー続行させろ!」そして嘲笑・・・・

 薄笑いを浮かべて勝ち誇る相手・・・・

 口の辺りが切れてリングに血が流れている・・・

 完全に失神しているS先輩、引きずられてリングから降ろされてゆく・・

 『自分やKくんもこんなふうに・・・・』

 「KENNちゃん、僕、もういやだよ!」Kくんが震えながら言った・・・・

 今度はMの番だ、「ちきしょう!絶対勝つからな!」

 Mはそういってリングに・・・

 今度は野次が飛ばない・・・・???

 Mだけは普通の長さのトランクスだし・・・?

 「M頼むぞ!」僕が言うとMは拳を突き上げた・・・

 Mの次はいよいよ僕の番だ・・・

      続く

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