{二人だけの夜}
                   

                   {01}

 

 山の端から月が覗きはじめる時刻・・・・・・・・・・・・・・・


夕食を終えて、加持が煙草を燻らせていると「失礼します」との声と共に女将、静さんと雪見ちゃんが
襖を開けて入ってきた。

「ご馳走様でした、こんなに美味い食事は久しぶりでした」
「有り難う御座います」加持の賛辞に微笑みながら応答すると、テキパキとテーブルの上を片付けて
ワインとバーボン、そして2種類のグラスと氷を置いた、これがいつものパターンなのだろう。
奥の部屋では、ミサトが雪美と何やら楽しそうに話をしながら布団を敷いている。
その光景を眺めていると、二人がこちらを向き手を振り何やら耳打ちして彼女達だけで喜んでいる。
困ったように微笑む加持だった・・・

 やがて全ての準備が整ったらしく、静と雪美が座って挨拶をした。
「それでは、どうぞごゆっくりお寛ぎ下さい」三つ指を付いてそう言ってから、ミサトに訊ねる。
「後はいつも通りで宜しいですか?」
「ええ、いつも通りで・・・」ミサトが返事をする。
「じゃあ、また明日ね、ミサトお姉ちゃん、加持さん」雪美が顔の横で手を振った。
「ん、お休み、また明日ね。ゆきちゃん」ミサトも手を振る。
成り行きが解らず、3人の美女の会話を、ただただ眺めるしかない加持である。
二人が部屋を出て行くとミサトに訪ねる。
「葛城・・・いつも通りって?」「言葉通りよ♪」可笑しそうにミサトが言う。
「それが解らないから・・・」苦笑しつつ言うと、ミサトが答える。
「明日、私達が帳場に行くまで、ここは完全な陸の孤島・・・って・こ・と」
そう言うと、ミサトは不意打ちのキスをする。


「さあ、どうぞ・・・」浴衣姿のミサトが、ワインを手に横で微笑む。


                    

                   {02}               


 ・・・「でね、何時もだと何でこんな美人が二人寂しく・・・
                     なんて言いながらリツコと二人で飲み明かしてるんだけどね」
普段のミサトなら、ここまで自分の事を話しただろうか・・・・・・・
                            そんな事を考えながら加持は話を聞いていた。


そしてワインのボトルを半分ほど開けた頃、話が途切れ勝ちになり、
                   ミサトがほんのりと桜色に染まった顔を向けて加持に聞いてきた。

「ねぇ加地君、ワインをもっと美味しく飲む方法教えてあげようか?」
「へぇ〜、どんな方法なんだい、興味が湧くね」
「こうするの・・・」
そう言うとミサトは、ワイングラスを持ってテーブルに腰掛け帯を緩めると、片手を後ろに突き
胸元でグラスを傾ける。グラスからワインがこぼれ、ミサトの身体をつたい流れ落ちていく・・・・・
魔法に掛かったように加持はミサトに近寄ると、オアシスを見つけた旅人のように赤い流れに口を寄せ、
喉を鳴らしてそれを飲み干した。

 流れが消えた後、何かを見つけたように加持はミサトの浴衣の前をそっと広げた。
赤い液体の流れ落ちた先の小さな窪みに、ルビーのような輝きを確認すると躊躇うことなく唇を寄せる。
ミサトの身体が震える。「・・・はんっ・・・・」窪みに在った物を飲み干し流れの跡を舌で辿り、
やがて細く綺麗な首筋に着くと、そこで加持はようやく唇を離し
                            ミサトの背に腕を回すと抱きしめキスをする。


「ピチャ・・ん・・んぅ・・・チュッピチャ・・・あはぁっ・・・」唇が離れる。
「連れていって・・・」その言葉に、加持は静か頷くとミサトを抱き上げ奥の部屋に向かった。
奥の部屋に入ると加持は静かにミサトを布団の上に降ろした。
帯が外れ、浴衣を羽織っただけになったミサトが布団の上に座って加持を見上げていた。

加持は帯を解き自分も浴衣を脱いでミサトの前にゆっくりと座った。
今度はミサトが羽織った浴衣を肩から脱ぎ滑らし、四つん這いで加持に近づくと、囁くように言う。
「今度は私が・・・・・」そう言って両手で肩を押すように加持を仰向けに寝かせると、
そっと唇を合わせてくる。
キスをしながらミサとの手が加持の身体をすべりトランクスの上から熱くなったものに触れる。
布越しに形を確かめるようになぞり、内側に手を潜り込ませるとトランクスを下げて
指で先端を包むようにそっと握って捏[こ]ねるように撫でる。
「んっ、ふ〜」加持の息が少し荒くなると、ミサトは握り直して全体を優しく上下に擦る・・・・・
その間も加持に口付けながら舌を絡ませるミサト。

 加持のモノが一段と硬直を増してくる、それに合わせる様に加持もミサトの背に片手を回して、優しく
撫でながら残った手で張りのある胸に触れる。
最初はソフトに捏ねるように、そしてだんだんと強く外から内へ持ち上げるように揉み上げる、
まるで搗き立ての餅を捏ねるように・・・・・

実際、ミサトの乳房は鍛えられてはいるが柔らかく適度な張りが有る、形が良いのも頷ける。
「ん・んぅ・・んんぅ・・・」加持の刺激によってミサトの呼吸も荒くなる。
背中にあった手も徐々に下りて行き、シルクに覆われた形の良いヒップを辿ると、指先が谷間を滑り降りて
いく、そこは上から判るほど熱く湿り潤っていた。                    [こ]  
「あうっ・・んっ・・・]その中心に力を加えるとミサトは声を上げ、彼を握った手にも力が篭もる。
加持の指が脇から潜り込み直接潤みに触れ出すと、ミサトは加持のモノを上下させる事も出来ないほどに
なっていた、しがみつく様に抱きつき、すすり泣くように声を上げる。
クチュチュ・クチャ・チャ・ヌジュチュッ・・・チィ・・・ヌチャチャ・・・チュ・
「ひぃあ・ひ・・・リョ・・リョウ・・んくっ、ぅん・・ん・んあ・あ・ああ・あ・ぅうくぅん・・・・」

「可愛いよ・・・ミサト・・」そう言うと啄ばむ様にキスをする加持。
「あ・・・も・もう・・・だめ・・き・て・・・リョウ・ジ・・・」切なそうにミサトが言う。
加持はショーツの横にあるリボンをほどき脱がせると、脚のあいだに身体を入れてきた。
「ミサト・・・・・愛してる・・・」そう言ってキスをすると、濡れた泉の中心に熱く硬直した物を
あてがうと腰を沈めた、クチュジュッチュプ・・・「あっ!!」ミサトが声を上げ加持を抱きしめる。
奥まで一気に沈めると、ミサとの中を確かめるように動かず唇を重ね舌を絡ませる。
「ピチャピチャチュックチュ・・・」ミサトも求める様に絡めてくる、「チャプ・・ん・・ぁはぁっ・・・」
やがて唇を離すと、二人の間に唾液で出来た絆が伸びる。「ぁはぁ〜・・・・・」静に安息の溜息をつくと
加持がゆっくりと中で動き出した。「ああっ・・あん・あ・ああ・んぅ・う・・んん・ひっ・・・あうんっ」
ミサトの中で加持が確実に快楽を紡ぎ、送り出す。深く入れ充足感をを与え、引く時は擦れ一層の快感が
電気となり背骨を疾る。
加持が徐々にスピードが増すとミサトの喘ぎも断続的に早く細かくなってきた。
「あ・あぁっ・あっあっあっ・ひっ・ひあぁ・ぁうん・ぅ・くぅっ・っっ・・んあっ・あ。・・・」
「はあはあはあ・・・・はあ・・・はあはあ・・・はっ・・はあ・・・」加持の呼吸が荒くなる。

「リョ・・リョウジ・・わた・・私が上になる・・・・」そう言って、抱き締めたまま横に転がると
加持の胸の上に手を置いて、今度はミサトが腰を動かす。「んん・・んぅ・・くぅぅ・・んぅはぁ・・あっ」
加持の手がミサトの腰の動きを助けるように支え時折、片手が濡れ光る真珠の珠をなぶる。「ふぁっ・・」
「ああっ・あん・・・・んぁ・あ・・・ぅん・・・ひ・・・ひぃう・・ぅう・・ぅあぁん・・・くふぅ・・」

ミサトの腰が浮き上がった時、加持が下から突き上げた。「ひぃん!!」一瞬声が高くなりミサトが
仰け反って一緒に髪が美しい弧を描く。
挿絵
ミサトの胸に手を移すと、外から内へ大きく捏ね、指先がその先端にあるピンクの突起をつまむ。
「んふぅ・・っくっ・・ぅあんっ・・・あ・・はあはぁ・・あ・・ああ・・あぅ・・・んむっ・・ぅん」
加持が起き上がり抱きしめミサトにキスをし、乳首を口に含み転がす。
「チュッ、クチュチュ・・キュックリュッ」
「くぅんぅあ・ん・・・くふっ」ミサトがギュッと加持の頭を抱きしめる。

加持が背と腰に腕を回し激しく動かし始めた。
「あん・・・はっはぁはっ・・んぅんくぅっ・・・ひぁ・あ・あ・もうっ!・・もうっ!・・」
哀願するように喘ぐミサトを抱きしめながら寝かせると、終焉に向かって激しく腰を使う加持。
リュ リュ リュ ジュッ チュ チュプ キュチュ 
「あん・あん・あっ・あふっ・・ん・・・あ・あ・あっ・ひぁ・ひっ・・んぅ・・・んぅくっ・・・」
「ハァハァハァハァ・・・・・・・・」

「ハァハァハァハァハァ・・・ミ・・ミサト・・愛してる・」「リ、リョウ ジィ・・・」
加持の言葉に応える様にミサトはしがみつき乱れる・・・・・・・・
「ハァハァハァ・・・・・ハァ・・・う・・・っ・・うっっ・・・・・」
「ひっひっひん・ひぃ・あぁ・・・あ・あ・あ・あ・あ〜〜〜〜!!!」
加持がミサトの中に想いの奔流を放つと同時に、彼女もまた昇りつめた・・・・・
真っ白になった頭の中に、輝く星が流れ収束し飛び散る・・・・・・・


きつくしがみついた腕から力が抜け加持の背中を滑り落ちると、ミサトはシーツの海にたゆたう。
ミサトを抱きしめながら加持もまた、ミサトの匂いの中で彼女を感じながら漂う・・・・・・・・




「ミサト・・・・・・・・」
加持の声にミサトが目を開けて顔を見る。
「何年先になるのか判らないけど・・・・・・・」
微笑みを浮かべてミサトが聞いている
「必ず生き残って、またここに来よう・・・」
次の言葉を飲み込むようにそれだけ言うと、そっと髪を撫でる。
ミサトは黙って頷き、加持の胸に顔を埋め瞳を閉じた。





 山かげから抜け出した月が、青く柔らかな光で二人を包む・・・・・・・・・・・・・・・










                    {太陽の丘}             







 次の日の朝、ミサトと加持は雪美に連れられて彼女の秘密の場所に向かっていた。


「ほらっ、ここだよ!」嬉しそうな声の雪美の指差す先にそれは広がっていた・・・・・
「うわぁ〜〜〜」ミサトが満面の笑みで驚きの声を上げる。
「へぇ〜〜〜こいつは・・・・・」加持も目を見張る。

陽の光に揺れる丘一面のひまわりがそこにはあった、側に駈けて行き、振り向くと雪美が元気に言った。
「やっとここまでになったの〜」
「綺麗でしょ〜〜っ!だから私の好きな人にしか見せてあげないの〜〜」
彼女の最高のもてなしである。

「太陽の丘・・・・だな・・・・まさに」
加持がそんな事を呟く
「そうね、彼女にぴったりの花だわ・・・生き残って、もっとこんな場所が増えたら素敵ね」
ミサトも彼女とひまわりを見ながらつぶやいた。





「ミサトこれを受け取ってくれないか・・・」
ミサトが振り向くと、加持はポケットから取り出した手の中の小さなケースを開ける、
中には綺麗な彫刻が施された銀色に光るリングがあった。
「加・・・・リョウジ・・・」
「生き残って・・・・・・・結婚しよう・・・」
リングを取り出すと、加持はミサトの手を取り左の薬指にはめた。
ミサトは瞳に涙をためたまま加持に抱きついた・・・加持も全てを包むように抱きしめる。




 証人は、周り一面に広がり風に揺れるひまわりと、息を呑んでみていた雪美。





消えることのない記憶・・・・・・新しい未来・・・・・・永遠を紡ぐ一瞬・・・・・・・・・




                       


                    fin


               




                                            (C)風








(後書き)
お・・・終わった〜〜〜〜!!締め切りはナシと言うことではじめた物語
私にとっての初の長文、初の官能小説・・・・・・・・・2作目なので当然と
言えば当然なのだが、初めて尽くしの中、手探りで作り上げることの出来た
作品です。
稚拙な文字の羅列と文章構成ですが、楽しんでいただければ幸いです。

               1999・10・18・19:58   

                                 風


HP開設1周年記念に風さんより頂きました。
初の官能小説というお話でしたが、大変な力作であると思います。
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