第9回 ボクサーメーカー
言わずと知れた、女子ボクシングを題材としたゲームの草分け的存在です。
ジャンルは育成シミュレーションですが、この分野としてもかなりの古株で
(ガイナックスの「プリンセスメーカー」は1991年5月発売)、
一説によると「ぶりんぐあっぷ」「ボクサーメーカー」「優子物語」を
「ハートソフト3大育成シミュレーション」とよぶとか・・・。
女子ボクサーのトレーナー(コーチ?)となってトレーニングを行い、
世界チャンピオンを目指す、という実にわかりやすい内容なのですが、
育成シミュレーションの宿命か、ゲーム中は地道で単調な作業に終始しがちです。
イベントも多くありません。試合中は、選手を直接操作するのではなく、
パンチ等の優先順位を「セコンドからのアドバイス」という立場から指示する、
という当時としては斬新かつ理にかなったなシステムを採用していましたが、
一定ターン毎に必ず指示を入力しなければならず、かなりうざったかったです。
対戦相手は豊富なのですが、どれも顔写真が一枚あるだけで、
試合中の対戦相手のグラフィック(一応アニメーション表示される)
はいつも同じなのが残念でした。エンディングも、グラフィック一枚だけで、
とても寂しい思いをした記憶があります。
このように、当時としても、アイデア先行で作り込みが甘いB級作品、という
印象を拭えない本作品でしたが、私にとっては「女子ボクシングのゲーム」
が登場したこと自体衝撃でした。1991年といえば、CPUはV30〜80286、メモリは640KB、
OSはDISK BASIC、メディアは1.2MBのFDが2〜3枚程度が全盛で、
女子キックボクシングでは熊谷直子がまだ無冠で、年間1試合しかしてない頃ですから、
本作品がいかに志が高く、それゆえ「早すぎた」作品であったかがわかります。
昨今のインフレ気味なパソコン能力と、女子ボクシングへの注目度の高まりに
乗じた「新作」の登場を切望します。
ハート電子産業
対応機種:PC9801VM/UV以降
メディア:5/3.5インチ2HD FD 2枚組み
1991年発売
定価:9800円
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