現在ほど打撃系女子格闘技の競技人口が多くはなかった1990年代初頭、
女子選手達は慢性的な対戦相手不足に悩まされていた。
そんな中で、彼女達の出会いは、ある意味必然であったのかもしれない。
片や、シュートボクシングの女王、藤山照美。
片や、国内負けなしも、未だ無冠の熊谷直子。
二人の対決は、熊谷がシュートボクシングの試合に乗り込むことから始まった。
体格差を生かし、パワーで圧倒する熊谷は、1R早々、藤山からダウンを奪う。
しかし、藤山は巧みな技で次第に熊谷を翻弄してゆき、劣勢からの挽回に成功する。
そして迎えた延長ラウンド、見事にシュートポイントを決め、藤山が判定勝利をものにしたのであった。
二人の強敵(とも)の名勝負数え歌は、こうして始まったのであった。