Round1その5
結局、レフェリーストップでアイコはKO負けを喫した。
完膚なきまで叩きのめされた少女はロープにもたれかかり、敗戦を噛み締めていた。
ヒデアキとマイリーンが彼女をリングの外に担ぎ出そうとしたとき、アイコはメイリンのコーナーにのろのろと歩み寄り、一礼した。メイリン陣営は、アイコの心意気に感嘆した。メイリンはアイコの肩を叩き、健闘と精神力を称えた。アイコはヒデキとマイリーンの肩を借りてリングを降りようとした。そして、泣いた。
ケンイチがやってきて言った。
「君は技術も未熟だし、スピードもない。さらに、打たれ弱く、パンチ力も足りない。しかし、君はもっと強くなれる。君が望むなら私が…。」
アイコの涙は歓喜のそれに変わった。
アイコはケンイチに背負われリングを降りた。
「ありがとう、ケンイチ。」
Round1完
戻る